ライチ 図鑑と育て方
原産地:インドシナ半島~中国南部
ムクロジ科 常緑中高木:樹高8~10m
発芽難易度:★★★☆☆☆☆☆☆☆:発芽率は比較的良い。 栽培難易度:★★★★☆☆☆☆☆☆:水が大好きなので、夏の水切れには注意する。
中国では紀元前から栽培されていた果実。日本では「世界三大美女」と謳われる楊貴妃(ようきひ)が好んで食べたとされる。 唐の玄宗皇帝が溺愛する楊貴妃(ようきひ)はライチを好むあまり華南~唐の都である長安までの数千里(中国では1里=500m)の距離を、 8日8晩かけて人民に運ばせたという話はとても有名である。その間に酷使された多くの人や馬は死に、当時の人民は多大な不満を抱いた。 そうした皇帝の溺愛ぶりによって民の不満が爆発し、楊貴妃は後に安禄山の乱で殺されてしまう。
濃い赤色の果皮は亀甲のようにごつごつとしているが、意外と剥きやすい。剥くと出てくる乳白色の果実は多汁で甘酸の調和がとれ、 非常に上品な味である。 葉酸をはじめビタミンB・Cや抗酸化作用のあるポリフェノールを多く含んでいるので美容や美肌にも効果的なフルーツ。 日本でも沖縄をはじめ鹿児島や宮崎の一部で栽培されている。
ライチは収穫したその日からすぐに劣化が始まるため、日本のスーパーなどのライチは総じておいしくないものが多い。 中国の古い本にこのような言葉がある。曰く、「枝から離れたライチの実は1日で色が変わり、2日で香りが失せ、3日で味が劣化する」と。 つまり多大な人馬の労力や損失を経ても、楊貴妃はついぞ本物のライチの味を知ることができなかったのである。
最後にライチの味を端的に表した中国の古事に出てくる詩を紹介して終わりにしたい。曰く、「剥けば凝(こ)りて水晶のごとく、食えば消えて降雪の如し。」と。
育て方
土壌:中性~弱酸で水はけの良いもの。例:赤玉小粒7:腐葉土3またはブルーベリー用の土でもよく生育する。
水やり:土の表面が乾いたらたっぷりと。夏はいつも腰水で育てても問題ない。
日光:日当たりの良い場所で。湿度さえあれば夏の直射日光にもよく耐える。
☆種まき☆
- 種は採ったその日にまくのが良い。
- 熱帯性の植物は種のまわり(果肉)に発芽を抑制する物質が含まれていることが多いので、果肉はしっかり水で洗い流して取り除く。
- 用土に種をまき、軽く土をかぶせる。
- 水をたっぷりやり、陽のあたる暖かい場所(23度以上)に置いておく。
※そのほか注意点ナド※
- 通常1~2週間で発芽。発芽率は良い。
- 冬場は5度以上で管理する。
- 根が傷みやすいので、植え替えをするときは傷つけないように気を付ける。
- 実生では7~10年で結実する。
- 6月中ごろに出回るライチから採れた種を用いるとよい。
- 夏はじょうろなどで早朝と夕方に葉水(植物体の上から葉や枝に水がかかるようにまんべんなくぬらすこと。)をするとよい。